学校長ブログ

2022.04.08

本年度もよろしくお願いいたします~分からないが言える~

 令和4年度が始まりました。本年もよろしくお願いいたします。昨日の令和4年4月7日に中学校・高等学校の入学式を無事に終了する事ができました。式辞では、本校の建学の精神、教育方針である「奉仕のこころ」「For Others~志高く~」を紹介し、将来「一隅を照らす人」のようなリーダーになって欲しいと述べました。「一隅」とは社会の片隅という意味です。社会の片隅で、どのような立場や環境であっても常に明るく前向きに人々を照らす存在になってほしいと思い話をしました。また、自分の可能性を信じ、邁進してほしいとも言いました。新入生の顔も明るく、今の気持ちを忘れず学校生活を送ってくれたらと思います。

 話は変わりますが、少し前にNHKの「ファミリーヒストリー」の番組で野村萬斎さんのヒストリーが取り上げられました。野村萬斎さんは、狂言師であるとともに俳優であり現代演劇やダンスの世界でも活躍されています。その萬斎さんも幼少の時期より父の野村万作さんから厳しい狂言の修行を課せられたそうです。萬斎さんは、型の習得の終わりなく続く稽古や修行に悩み、苦しみましたが、最後には狂言を究めました。その野村萬斎さんも、現在息子の野村裕基さんに同じように幼少から師弟関係を結び厳しい修行を課したそうです。もちろん、裕基さんも悩み続けました。そこで、裕基さんは大人になって父萬斎さんに「なぜ、そのような幼少からの修行がいるのか。」と聞きました。すると、それに対して萬斎さんは、「分からないんだ。わたしもそうされてきた。(そして、このように会得した。)」と答えたそうです。

 私は、この萬斎さんの答えを聞いて、萬斎さんが正直で知的で勇気のある方だと感心しました。父であり師でもある立場で「分からない。」と言う事は勇気がいります。正解のない問いかもしれませんが、変に理由も付けない。それは、萬斎さんが、この分からない問いに真摯に向き合ってきたから、このような答えが言えたのでしょう。

 私は教育に携わりながらも、分からない事に対し分かったような顔をする事があります。だから、野村萬斎さんの、極めた人の「分からい事は分からない。」の発言に、謙虚な人柄や人間の深みを感じます。足元にも及びませんが、私も「謙虚に分からない事は分からない、でも考え続ける姿勢は持ち続けたい。」と言えるようになりたいと思いました。

 本年度も、教職員ともども生徒と共に真摯に向き合い続けますので、ご支援、ご協力のほど、よろしくお願いいたします。

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