学校長ブログ

2019.04.15

高等学校 入学式

 平成31年4月8日、本校体育館で昇陽高等学校入学式を挙行しました。校長式辞は下文の通りです。

 今年も、春爛漫の桜の下で、気持ちも新たに昇陽高等学校入学式を挙行することができました。また、今日の佳き日に多くのご来賓の皆さま、保護者の皆さまのご臨席を賜り、高い席ではありますが、あつくお礼申し上げます。

 ただいま入学を許可しました新入生の皆さん、入学おめでとうございます。教職員一同、心よりお祝い申し上げます。また、本年度より新元号となります。新元号「令和」は「万葉集」の一節である「時に、初春の令月にして気淑く(き よく)風和らぎ(かぜ やわらぎ)」からきています。それは、厳しい寒さののちに春の訪れを告げ、見事に咲き誇る梅の花のように、明日の希望とともに、それぞれの花を大きく咲かせるという願いを込めて決められたそうです。全く、皆さんの前途を祝っているような元号ではないでしょうか。皆さんは、「令和」の申し子として、大きな花を咲かせてください。

 さて、本校は、大正13年に淀之水高等女学校として創立された伝統ある学校です。その後、初代理事長 木村幸次郎氏が私財を投じ、本校発展に寄与されました。その時、「奉仕のこころ」の建学の精神を説きました。以来、女子教育を推進し、社会に貢献できる人材の育成に努めてまいりました。平成22年に校名も昇陽中学校・高等学校と改称され、男女共学となりましたが、建学の精神は引き継ぎながら、8コースで人材育成を行っています。

 また、社会的に自立するために、単に知識を習得するだけでなく、自らの優れた資質を他者のために用い、他者から信頼を勝ち得るための気骨と品格ある人材の育成を目ざします。これからも、皆さんとともに、さらに昇陽高等学校を発展させていただきたいと思います。

 また、そうするために、皆さんにお話ししたいことがあります。

 そのひとつが、学校はひとりで学ぶ所ではないということです。学校は友とともに学ぶ所です。ある時はチームの一員として、ある時はライバルとして切磋琢磨してください。そして、一生の友を作ってください。

 生物学者のジャレド・ダイヤモンド氏は「人類はゴリラやチンパンジーや同種のネアンデルタール人と違い繁栄したのは、二足歩行でも道具の使用でもなく、のどや舌などの構造が発達し、繊細な発話が出来る。もっと言えば、言葉を話す能力が備わったからだ。」と言っています。身体も華奢で、力も弱い人類はコミュニケーションを行い、互いに言葉で連携しあいながら、集団で行動する事が出来たから繁栄しました。人類が人類たり得るためにも、集団化は運命づけられています。学校はひとりで学ぶ所ではない。我々の能力を最大限に発揮するために、みんなの中でどう生き、みんなの力をどう発揮させるのかを皆さんで考える場です。

 そして、そのためにも誠実に生きてほしいと思います。それは、集団で生きていると、言葉以外に行動や生き方で、その人を判断することが有効だと気付くからです。誠実な生き方は人に信頼感を与えます。皆さんの成長過程には、誘惑や惰性の落とし穴、失敗や挫折はつきものです。それらの壁でもがいている時に、皆さんが誠実であれば、他者は手を貸し助けます。それは、人類が時間をかけ積みあげてきた英知なのです。その誠実さは、友や先生との交流、失敗も含めての経験、読書や部活動、自己との対話など総合的に育まれます。あえて、厳しい言葉にも耳を傾けてほしいと思います。そして、将来 社会人になった時、「あの人なら一緒に働きたい。」と思わせる志高く、嘘偽りない人物になってください。

 二つ目は、日常を大切にしてください。日常は自己との挑戦です。基本を大切にし、時間を守り、継続を旨としてください。日常を大切にし、毎日のルーティンを守り続けた人物に、先日引退したプロ野球選手のイチローがいます。イチローは、練習や食事内容まで毎日のルーティンを守り続けました。そのイチローが、「準備するとは、その後の言い訳の材料を作らないため、後悔したくないために行う。」と言っています。「努力、継続に勝る天才はありません。」本校の3年間は一生で一度しかありません。この3年間を後悔しない3年間にしてほしいと思います。

 2点言いました。友とともに学んで、最大限の力を発揮してほしい。毎日を大切にしてほしい。高校は、授業内容も部活動のレベルも上がります。しかし、壁が高いほど、精神的にタフで明るくいてほしいと思います。

 満開の桜の後には、「穀物の雨」と書いて穀雨という春の雨がやってきます。この時期の雨こそ、のちの穀物の成長につながるので穀雨と名づけられました。今の雨が、のちの成長につながるとは、なかなか分からないものです。実りとは、雨や風や強い日差しと向き合い、受け入れる事で結ばれます。昇陽高等学校3年間が、穀雨のように、将来の大いなる実りになる事を期待しています。

 最後になりましたが、保護者の皆さまには、今日までご苦労を重ねつつ大事にしてこられた お子様のご入学を心よりお祝い申し上げます。今、ほっとされているかもしれませんが、今新たに、これからの本校の教育活動に対して、ご理解とご支援をお願いいたします。新時代の新入生の皆さん、皆さんとの出会いを待っていました。ともに、夢の実現に向けて頑張る事を誓い、私からの式辞といたします。

                       平成31年4月8日 

                           昇陽高等学校長  竹下 健治

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